農地の相続、何をすれば良いの?
- 村田 悠良
- 1月24日
- 読了時間: 3分

不動産の相続の場合、相続登記を行うことになります。
これが農地であった場合には、相続登記の他にも必要な手続きがあります。
また、農地を相続した時の注意点もいくつか存在するため、この記事ではそれらについて詳しく説明していきます。
1.農地を相続する際に必要な手続き
(1)法務局での相続登記
農地を相続した場合、他の不動産同様農地の所在地を管轄する法務局で名義人の変更をする手続きが必要です。
通常であれば、農地を売買や贈与によって所有者を変更させる場合には農業委員会の許可を受ける必要があります。そのため、許可を受けたあとに所有権登記手続きを行います。
法定相続人が農地を相続により取得した場合、農業委員会では許可の代わりに届出をすることになります。この際、届出書とともに、法務局で相続登記済みの登記簿謄本など、相続したことが確認できる書面を提出することになるので、法務局での相続登記手続きを始めに行います。
(2)農業委員会への届出
法定相続人が農地を相続により取得した場合、農業委員会に届出をする必要があります。この届出には、「被相続人が死亡したことを知った時点から10か月以内」に行う必要があるため、誰が農地を相続するか決まり次第早急に手続きの準備に取り掛かることをオススメします。
2.農地を相続した時の注意点
農業を営んでいる方が農地を相続した場合には問題ないです。
農地を引き継いでも、農業を行う意思がない場合は、その土地をどうするのか、そもそも農地を相続するのかという問題が発生します。
農地は、他の不動産同様、保有していることで固定資産税等の維持費が発生します。また、農地上の建物や樹木の管理を怠ることで、近隣の住民とトラブルになる危険もあります。
そういった問題を避けるためにも、農業を行う意思がない相続人が取りうる手段は大きく3つあり、それぞれの説明をしていきます。
(1)売却する
相続した農地をそのまま売却する方法です。
宅地と比べて、農地は一般的に売却しにくいです。
また、農地の買い手の条件として、営農計画を持っていたり、必要な農作業に従事することがあったりと、つまり「農地を買った以上キチンと農業に従事してね」といった農業委員会の意図があります。
この点、たとえば当該農地の近所で農業を営んでいる人であれば、スムーズな売却が見込めます。
(2)転用する
土地の用途を変更することを転用するといいます。
住宅地としての需要があるような農地であれば、宅地に転用したほうが売却が有利になります。
また、その土地に自宅を建てるときや、賃貸不動産を建てて不動産事業を始めるときにも転用をする必要があります。
(3)相続放棄する
売却も転用もどちらも難しい場合、相続放棄という手段もあります。
相続放棄の注意点は2つあります。
1つ目は、相続放棄とは全ての相続権を放棄するということです。
相続放棄の効果が相続人でなくなることにあるからです。そのため、相続放棄をする前に一度相続財産の確定を行うことが良いでしょう。
2つ目は、相続放棄ができる期間が決まっているということです。
相続放棄は、相続開始があったことを知ったとき(被相続人が亡くなったことを知った時)から3か月以内に家庭裁判所に届け出なければなりません。そのため、期間が過ぎる前に相続放棄するかどうか決めておく必要があります。
3.まとめ
農地を相続する場合、その他の財産と比べて考えなくてはならないことが増えます。
できれば、相続前に問題を解消しておきたいですが、問題が残ったまま相続が開始したケースも散見されます。
相続前の遺言書による解決や、相続後の悩みはぜひ一度専門家にご相談ください。