top of page

相続財産がはっきりしないけど、どうすれば良いの?

  • 執筆者の写真: 村田 悠良
    村田 悠良
  • 1月27日
  • 読了時間: 5分


「相続が発生したけど、相続財産の把握ができない。」

といった相談は多くあります。

こんなときの相続財産の調べ方について、説明していきます。


1.調査すべき財産について


財産の調査にあたって、所有財産の種類は人によって様々です。

といっても、次の財産は多くの方が所有しているため、まず調査を検討すべきでしょう。

  • 銀行口座

  • 不動産(自宅)

  • 自動車(車社会の場合)

  • 保険


また、亡くなった方によっては次のような財産を所有している場合もあるため、場合によっては調査が必要となってきます。

  • 株等の金融資産

  • 金等の貴金属

  • 仮想通貨


遺産の中には、マイナスの財産(負債)が含まれる場合があるため、調査の検討が必要となることもあります。


2.金融機関の調査


銀行では、全店照会をすることで当該銀行の全ての支店の口座まで被相続人(亡くなった方)が所有していたか調べることができます。

その際、投資信託、国債、貸金庫等の有無も一緒に調べましょう。


現在では、インターネットバンクが普及していることから、全国全ての金融機関を調べることは現実的ではありません。そのため、被相続人の家にあった通帳やカードを参考に調べ、念の為に近辺の地方銀行の口座についても調べることをオススメします。

栃木県の場合、足利銀行と栃木銀行は家に通帳がなかった場合でも調べてましょう。


3.不動産の調査


不動産は、所有している不動産の管轄市町村で「名寄帳」という、納税対象者の所有する不動産の一覧を取得することで把握することができます。


「名寄帳」は、管轄の不動産についての調査しかできません。そのため、家にある固定資産税・都市計画税(土地・家屋)納税通知書や権利書を元にどの市町村に不動産を所有しているのかあたりをつけて調査をする必要があります。


次に、「名寄帳」によって得た不動産情報を元に法務局にて登記簿謄本を取得します。

登記簿謄本には、銀行ローンを組んだ場合に設定される抵当権の情報も記載されているため、借金が残っているかの確認もできます。


4.自動車の調査


自動車は、自宅に置いてあることがほとんどではないでしょうか。

車内に保管されている車検証に記載されている所有者情報が本人以外の場合、自動車ローンがまだ残っている可能性があります。

また、近年自動車リースの需要が高まっており、そもそも自宅にある自動車でも、亡くなった本人の財産に該当しないケースもあるためチェックが必要です。


2023年1月4日より車検証が電子化されたため、場合によっては車検証に所有者情報が記載されていないことがあります。

その際には、専用の車検証閲覧アプリを利用する必要があります。


5.保険の調査


亡くなった方が生命保険に加入していた場合、相続人がその受取人となっているケースが多いです。

生命保険金は遺産ではなく受取人の財産と考えられているため、原則として、相続財産に含まれませんが、財産調査を行う際にまとめて調査することをおすすめします。

生命保険の調査には、「生命保険契約照会制度」を利用すると良いでしょう。

当該制度は、契約者が亡くなった際に親族等が申し出ることで、生命保険協会を通じて生命保険会社各社に保険契約の有無の照会をすることができる制度です。

照会申請をかけてから2週間程度で生命保険会社ごとの保険契約の有無が開示されます。

その後、契約があった保険会社に個別に契約内容を確認します。


6.その他の財産


株式は、上場企業の株であれば証券保管振替機構、通称、「ほふり」を利用して遺産に株式があるのか調査することができます。

非上場企業の場合は、当該会社に個別に問い合わせる必要があります。


金などの貴金属については、自宅や貸金庫などから資料を探し出す必要があります。


ビットコイン等の仮想通貨は、取引所に問い合わせることで調査をすることができます。


7.マイナスの財産(負債)について


上記の財産の他に、借金やローンのような負債も相続の対象となります。

負債に気が付かないで、相続をして、実は財産より負債の方が多かった…という事態を避けるためにも、相続放棄ができる期間(亡くなったことを知ったときから3ヶ月)の終了までに、負債の調査は済ませておきたいです。


調査方法としては、まず、借用書等の契約書がないかチェックします。

また、上記の不動産や自動車の調査を行った際に負債についての手がかり(登記簿謄本、車検証)をチェックします。

次に、信用情報機関に開示請求を行います、

信用情報機関とは、貸金業者が個々の借り手の総借入残高を把握するために設けられたものです。この機関に開示請求を行うことで、被相続人(亡くなった方)に借金があったのかの確認ができます。


調査によって負債があることがわかっても、すぐに返済をすることを控えることが重要です。返済をすることで、相続を承認したことになって、相続放棄ができなくなります。


8.まとめ


以上が相続財産の調べ方についての説明になります。

財産の内、存在しないことが確実にわかっているものであれば調査をする必要はないですが、その存在が明確でないものについてはできれば調査をすることをオススメします。

また、財産の調査は、難しく手間のかかるものが多いですが、財産の所有者本人であれば、非常に簡単に行うことができます。そのため、遺言の作成を検討されている方は、事前にご自身の財産を把握し遺言に記載されることを推奨します。


相続財産の調査、遺言の作成は一度専門家にご相談されることをオススメします。


bottom of page